総合芸術と生活美学を目指して~僕の審美眼に叶う愛しい物達~
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今はなきレオン・ド・リヨンの森鳩。生涯で一番美味しかったジビエ。あまりの美味しさにまた食べにフランスに行ったほどです。これを超えるジビエ料理に出会いたい!!
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自己紹介

美味しいものが大好きで、音楽、映画、絵画、文学における抒情美を追求している「るしぇるしぇ」といいます。


誕生日 14.4.1979

尊敬する人物

レオナルド ダ ヴィンチ
稀有の総合芸術者です。

好物:
フォワグラ、ピジョン、
グルヌイユ、ジビエ
アバ、ビターチョコ、
ワイン、ハーブ系のお酒、
アルマニャック、日本酒
刺身、湯葉、

嫌いな食べ物:
添加物を加えて
いる食べ物、
ジャンクフード、
ファーストフード、
インスタント食品、
チェーン店の料理、
創作料理(フランス料理
なら正統的なフランス
料理を食べたいので、
でも一店だけ例外はあり
ます。)


お腹をただ満たすための
食事ではなくて、
ゆっくりと時間をかけて
味わい、全身で美味しさ
を喜ぶことができる、
そんな料理が食べたい
です。

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カテゴリ:ラファエル前派( 32 )
マリー・スティルマン 「魔法をかけられた庭」
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マリー・スティルマン 「魔法をかけられた庭」

この絵の主題はボッカチオの「デカメロン」の一篇(10日目、第5話」が元になっています。ウディーネを舞台としたこの一篇には、ギリベルトという金持ちの高官の妻ディアノーラに思いを寄せた貴族アンサルドの話が綴られています。
ディアノーラはアンサルドの求愛を拒絶しますが、結局のところはもし彼が1月の庭に花を咲かせることができたら彼に身を寄せることを約束します。
ディアノーラはアンサルドにはそれは不可能なことであるため、執拗な誘惑をこれで断ち切れると信じました。
しかしアンサルドは高い報酬で魔法使いを雇い、庭に花を咲かせて、ディアノーラと淑女達を招待して、彼女に誇らしげに花や果実を見せます。
困惑したディアノーラは自分のしたことを夫に告白します。夫は初めは激怒しますが、動機に不貞のないことを理解して彼女にアンサルドの許へ行くべきこと、そしてもし必要なら彼女の魂は別として肉体は従うべきだと説きます。
ギリベルトの寛大さに感動したアンサルドはディアノーラの約束がなかったことにして、一方、魔法使いはアンサルドが肉欲を放棄したことに感銘を請けて、庭園に魔法をかけた報酬を辞退します。

この絵はマリー・スティルマンの作品中最も野心的でしかも完成度の高い作品の1点であり、彼女の画家としての個性となっている想像力が見事に発揮されています。
これは新聞記者の夫と共にイタリアに住んでから製作されていて、イタリアが彼女の主題の選択に影響を与えた好例です。
人物の処理がまったくもってイタリア的で、特に小姓の衣装に顕著に影響を認めることができます。それらはギルランダイオかペノッツオ・ゴッツォーリのフレスコ画からそのまま採用されたものと思われます。

この絵は1889年ニューギャラリーに展示されましたが、このギャラリーは、グローヴナー・ギャラリーの分身として前年に開催されたばかりでした。
マリー・スティルマンは、バーン=ジョーンズやラファエル前派の後期の画家たちの多くと同様に、両ギャラリーに定期的に作品を展示しました。

参考文献 「ラファエル前派とその時代」
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by esthetisme | 2011-02-12 04:43 | ラファエル前派
「期待」  サー・ローレンス・アルマ・タデマ
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サー・ローレンス・アルマ=タデマ  「期待」

ある批評家がこの典型的なアルマ=タデマの絵に触れて「サファイア色の海と白い波頭と蒼い空と甘い香りの花々」で構成されていると評したことがありますが、それに続けて「恋人の姿を夢見ながらエクセドラに腰掛けた娘」と付け加えていたとしても不思議ではないと言えます。
最後の25年間、彼の作品にはそうした基本的な構成要素が繰り返し登場することとなります。通常このような作品は、ナポリ湾で描かれましたが、この地で彼はしばし中景を省くために場面を断崖の突端に設定しました。こうすることによって大理石の白さと背景の空や海の蒼さがくっきりとした対象をみせることになるからです。
エクセドラの描く硬い線はーこの絵のハナズオウのようにーしばしば見事な花をつけた樹木によって中断され、和らげられています。
傍らの娘は、恋人を乗せた船がやってくるのを待ちながら、陽の光に照り映える海の彼方を見つめています。
この作品は、1889年のパリ国際博覧会で金賞を受賞しました。

参考文献

「サー・ローレンス・アルマ=タデマ画集」トレヴィル出版
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by esthetisme | 2010-07-14 20:15 | ラファエル前派
ウォーター・ハウス 2008年~2010年 展覧会
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今月行く予定のカナダで開催されているウォーター・ハウスの展覧会についてオランダとイギリスで同じ展覧会を見た人の情報から出展リストを作ってみました。
あわせてどこに作品があるかと日本で展示されたことはあるかを家にある20冊以上のラファエル前派に関する展覧会の図録からざっと調べてみました。

こうして調べてみると今回の展覧会は美術館にある作品と個人蔵の作品をあわせるとイギリス、ドイツ、アイルランド、台湾、オーストラリア、アメリカ、カナダといったように世界中から集められているようで、こうしてひとつの美術館で代表作が一気にまとめて見れるなんて正に夢のようですし、改めてこんなにも作品が散らばっているのかというのに気がつきました。

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イギリス

○ロンドン・テイト・ギャラリー
・聖エウラリア(St. Eulalia)
→2003年 ヴィクトリアン・ヌード展
・魔法の円(The Magic Circle)
・シャロットの女(The Lady of Shallot)
・神託伺い(Consulting the Oracle)

○ロンドン・ロイヤル・アカデミー
・人魚(A Mermaid )
→1983年 青木 繁と明治浪漫主義とイギリス展
→1989年 ヴィクトリア朝の絵画展

○オウルダム美術館
・オデュッセウスに杯を差し出すキルケ(Circe Offering the Cup to Ulysses )
→1987年 バーン=ジョーンズと後期ラファエル前派展

○マンチェスター市立美術館
・ヒュラスとニンフたち(Hylas and the Nymphs)
→1993年 珠玉の英国絵画展
→2000年 ラファエル前派展

○ポート・サンライト レディ・リーヴァー美術館
・デカメロン

○アバディーン美術館
・ペネロペと求婚者たち(Penelope and the Suitors )
→1985年 ラファエル前派とその時代展

○リヴァプール ウォーカー美術館
・エコーとナルキッソス(Echo and Narcissus)

○プリマス市立美術館
・ハマドリュアデス(A Hamadryad)

○リーズ市立美術館
・シャロットの女(The Lady of Shallot)
→1989年 ヴィクトリア朝の絵画展
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ドイツ
○ダルムシュタット ヘッセン州立美術館
・つれなき美女(La Belle Dame Sans Merci)
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オーストラリア

○メルボルン国立美術館
・オデュッセウスとセイレーン(Ulysses and the Sirens )

○アデレイド・サウス・オーストラリア美術館
・嫉妬に燃えるキルケ(Circe Invidiosa)
→1985年 ラファエル前派とその時代展
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カナダ
○トロント オンタリオ美術館
・影の世界にはもううんざり、とシャロットの女は言う(I am half sick of shadows)
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○個人蔵
・マリアムネ(Mariamne)
→1985年 ラファエル前派とその時代展

・聖カエキリア(St. Cecilia )

・ダナイスたち(Danaides)
→1987年 バーン=ジョーンズと後期ラファエル前派展
→1998年 英国ロマン派展

・ミランダ(Miranda )
・トリスタンとイゾルデ(Tristan und Isolde)
・アリアドネ(Ariadne )
・ウィンドフラワーズ(Windflowers)
・オルフェウスの首を見つけたニンフたち(Nymphs Finding the Head of Orpheus)

○場所不明
・ラミア(Lamia)
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by esthetisme | 2009-11-08 12:44 | ラファエル前派
ウォーター・ハウス つれなき美女
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ウォーター・ハウス つれなき美女

「つれなき美女」とは、19世紀英国の詩人キーツのバラッドです。ウォーター・ハウスはそのバラッドに着想を得て本絵画を制作しましたが、彼の数多くある名画の中でも最も素晴らしく、それでいて最も強くラファエル前派らしい影響が見受けられる作品となったため、キーツのバラッドは非常にロマンティックで美しい絵画のインスピレーションとなりました。

このバラッドに登場する女性は、キルケ、セイレーンと同じように宿命の女の象徴であり、宿命の女は19世紀後半のラファエル前派や象徴主義の画家の絵画によく登場する題材のひとつです。
ウォータ・ハウスの描くキルケやセイレーンは罪悪ではなく、象徴主義の画家のような破壊的な怪物ではありません。
むしろ彼等はまるで犠牲者がしていることを助けることができず、それを後悔しているかのように、物欲しそうな美と神秘的な悲しさで彼らを誘い、罠にかけています。このことは1891年の「ユリーシーズにカップを差し出すキルケ」、1892年の「恨まれたキルケ」、特に1893年の本絵画にはっきりと表れています。

本絵画ではつきまとう神秘と美に満ちた風景の場面に武装している騎士を運命的な抱擁を優しく引き込む典型的なウォーター・ハウスの魔女がいます。その少女はウォーター・ハウスのスタイルの目立つ特質である長い髪と顔に物欲しげな表情をしています。その絵は上品で、つきまとう好色さを増幅させ、暗く生い茂った森に設定されています。その騎士の姿はウォーター・ハウス自身であり、徐々に彼自身の婦人観にとりつかれていきます。1890年以降のウォーター・ハウスの作品は婦人が題材となっていて、男性達は犠牲者としてだけ現れます。

「つれなき美女」の詩については、フランク・カドガン・カウパーの絵画と共にアップしていますので興味があるかたはこちらをクリックしてご覧下さい。

参考文献

「ラファエル前派」 ロイヤル・ギャラリー アート・ウェーブ
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by esthetisme | 2009-10-25 13:09 | ラファエル前派
ウォーター・ハウス ペーネロペーと求婚者達
いよいよモントリオールで開催されているウォーター・ハウスの大規模な回顧展に行く前に約一ヶ月と近づいてきましたので、彼の絵画をできる限り多くアップしていきたいですね。
今回の絵画もまた展示されているので実物を見るのが楽しみでなりません。

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ホメロス作の「オデュッセイア」によるとペーネロペーはトロイア戦争へ出征した夫のオデュッセウスの生還を待つ20年もの間、たくさんの求婚者に言い寄られても再婚せずに待ち続けた貞淑な女性として描かれています。

ウォーターハウスは、ペーネロペーが機織部屋で侍女に付き添われている様子を描いています。

ペーネロペーは機織をあげるまで待って欲しいと求婚者たちに言うため、望みを持った彼らは、音楽、花、宝石で彼女の気をひこうとしました。
しかしそれは再婚を逃れるための言い訳であり、日中は織物を製作しますが、夜には夫のオデュッセウスの生還を信じてその一日に織ったものをほどいていました。

全ての登場人物はペーネロペーに注目しており、この仕掛けによって鑑賞者の注意は彼女に集中することになります。

本作品は、公のコレクションに適した重要作品購入の選別を依頼されていた、アバディーン美術館の委員会によって、ウォーター・ハウスから直接買い取られました。

参考文献
「イギリス・フランス近代名画展」の図録
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by esthetisme | 2009-10-10 22:00 | ラファエル前派
アーサー・ヒューズ オフィーリア
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アーサー・ヒューズ オフィーリア 1852年

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アーサー・ヒューズ オフィーリア 1865年

シェイクスピア劇の中で最も親しまれていて、何度も表現された主題のひとつである「ハムレット」第4幕第7場のオフィーリア狂乱の情景を描いています。

オフィーリアは、一度は愛を誓ったハムレットの心変わりに耐えることができず、父ポローニアスの死に深く悲しみに沈みました。
奸計でデンマーク王位を奪い取ったクローディアスは、ハムレットの殺害を企て、表向きはイギリスへの使命を託して送り出します。
ハムレットがいなくなると、オフィーリアは野原に出て、野性の花や薬草を集めて身を飾り、まるで恋人をなじかるのように、花の名前や伝承された花言葉を口ずさみます。
「これがマンネンロウ、思い出の花。お願い、私を忘れないで。それから三色スミレ、もの思いの花。」
オフィーリアが溺死した場所や状況は、王妃ガートルードが、オフィーリアの兄レアティーズに語り聞かせます。


小川のほとりに柳の木が斜めに立ち、
白い葉裏を流れに映しているところに、
オフィーリアがきました。
キンポウゲ、イラクサ、ヒナギク、
それに、口さがない羊飼いは卑しい名で呼び、
清純な乙女達は死人の指と名づけている
紫蘭の花などを編み合わせた花冠を手にして。
あの子がしだれの柳の枝に
その花冠をかけようとよじ登ったとたんに、
つれない枝は一瞬にして折れ、
あの子は花を抱いたまま泣きさざめく流れに
まっさかさま。裳裾は大きく広がって
しばらくは人形のように川面に浮かびながら
古い歌をきれぎれに口ずさんでいました、
まるでわが身に迫る死を死らぬげに、
あるいは水のなかに生まれ、
水の中で育つもののように。
だがそれもわずかなあいだ、身につけた服は
水をふくんで重くなり、あわれにもその
美しい歌声をもぎとって、川底の泥の中へ
引きずり込んでいきました。(小田島 雄志訳)

ヒューズのオフィーリアには2点のヴァージョンがあり、両者は明らかに相前後して製作されたらしく、サイズは異なりますが、構図として描かれた内容は同じとなっています。
また額縁も同様の造りで、王妃ガードルードがオフィーリアの死を物語る一節が金地に書き込まれていて、額縁の周囲を金箔を施した蔦の葉飾りが取り巻いています。

この主題はヒューズが同時代のラファエル前派様式に共鳴したことを示しています。ヒューズの作品は、溺れた少女が流れの中に浮かぶ様子を描いたミレーの有名なオフィーリアと同じく、1852年のロイヤル・アカデミー展に出品されました。明らかにふたりの画家は、ロイヤル・アカデミー展に彼らの作品が並ぶまで、両者がいずれも「ハムレット」から主題を選んだことを知らなかったようです。
しかしこの2点の作品の比較は、それぞれの画家の制作方法を知る上で大いに役立ちます。
ミレーは植物と衣服の襞が織り成す緻密なパターンを画面全体にまで押し広げ、少しも手抜きをせずに、「自然に忠実に」という技法の要求を実践しています。
これとは対照的に、ヒューズの作品では細密描写と鮮やかな色彩は人物描写に限定されて、それ以外の二次的な部分は、もっと概略化され、その場の雰囲気が強められています。オフィーリア自身は、超自然的な光に照らし出されています。
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by esthetisme | 2009-07-25 23:38 | ラファエル前派
ヒュラスとニンフたち /ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
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ヒュラスとニンフたち /ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス

ギリシャ神話に登場する美少年ヒュラスは、金羊毛を求めてのアルゴ船の遠征にヘラクレスの侍童として加わりました。
ある晩にミュラス島に上陸すると、彼は水差しを持って真水を汲みに行かされました。水浴していたナイアスたち(泉と川のニンフ)は、彼の美しさに魅せられ、彼を水中へと誘い込みます。
こうして彼はそれっきり行方不明となってしまいました。

この作品はウォターハウスの最も有名な作品であると同時に19世紀の象徴主義の作品として傑作群の中に位置づけられる作品でもあります。
1895年にロイヤル・アカデミーの正会員に選出された彼は、翌96年の同展覧会にはこの選出に値する話題作を出品しようと考えていました。
そこで意図された作品がこの作品であったのですが、出品期限には完成が間に合わなくて、その代わりに「マンチェスター秋の美術展」に送られて、同美術館に800ポンドで買い上げられました。
ロイヤル・アカデミーには最終的に1897年に展示されて、批評家にも絶賛されました。
この時に、「ステューディオ」誌もこの作品に関しての記事を掲載し、人物像の下絵数点が掲載されました。
以後、この作品は国際的に評価を高め、パリ(1900)、グラスゴー(1901)、セントルイス(1904)で開かれた展覧会や1908年のフランス・イギリス二国展にも出品されました。
作品の魅力は容易に解釈できるものです。周りを取り囲む甘美な顔立ちの優美な裸婦、危険への予感、心地よい色彩と卓越した技法、これはウォーターハウスが1890年代に到達した至上の境地と言えるものです。
彼はその時期に、バーン=ジョーンズの詩情やレイトンの理想的なフォルム感覚、それにバスティアン=ルバージュとその後継者の自然主義をほぼ等分に混合して見事な混成様式を確立していました。

なお本作品は1993年の「珠玉の英国絵画展」、2000年の「ラファエル前派展」で展示されたことがあります。「珠玉の英国絵画展」の図録では表紙となっています。
本記事内容はその2冊の図録の解説から引用しました。
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by esthetisme | 2009-07-09 23:31 | ラファエル前派
サー=ローレンス=アルマ=タデマ 「銀色のお気に入り」
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サー=ローレンス=アルマ=タデマ 「銀色のお気に入り」 1903年

この絵画の題名である「銀色のお気に入り」とは池の鯉のことで、今娘たちの1人がタンバリンを入れもの代わりにタンバリンを使って餌をやっているところが描かれています。
その飼っている魚に注意を向けさせるために、額縁には次のワーズワースの詩句が引用されています。

このちっぽけな海にまばゆく照りつける
光という光に神経をとがらせて
お前たちの鱗の鎧は
そのお返しをしようときらめく

サファイア色の海と白い大理石、蒼い空で構成されたこの絵画は彼の典型的な画風を示すもので、特に大理石の見事さは、「大理石の絵」と称する特異なジャンルを生み出すことになり、多くの模倣者を輩出したきっかけとなりました。
しかし、今日亜流の画家たちが残した作品を見てみると、そこにはアルマ=タデマの大理石に見られるような温かさと冷かかさの交錯する微妙な肌合いをまったくもって見出すことができません。
アルマ=タデマに比べると気の毒なほど大理石模様のプリントされた安物のデコラ板にしか見えないからです。

参考文献

サー=ローレンス=アルマ=タデマ画集 トレヴィル出版
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by esthetisme | 2009-06-21 18:36 | ラファエル前派
ウォーターハウス オフィーリア
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シェイクスピア劇の中で最も親しまれていて、何度も表現された主題のひとつである「ハムレット」第4幕第7場のオフィーリア狂乱の情景を描いています。

オフィーリアは、一度は愛を誓ったハムレットの心変わりに耐えることができず、父ポローニアスの死に深く悲しみに沈みました。
奸計でデンマーク王位を奪い取ったクローディアスは、ハムレットの殺害を企て、表向きはイギリスへの使命を託して送り出します。
ハムレットがいなくなると、オフィーリアは野原に出て、野性の花や薬草を集めて身を飾り、まるで恋人をなじかるのように、花の名前や伝承された花言葉を口ずさみます。
「これがマンネンロウ、思い出の花。お願い、私を忘れないで。それから三色スミレ、もの思いの花。」
オフィーリアが溺死した場所や状況は、王妃ガートルードが、オフィーリアの兄レアティーズに語り聞かせます。
















小川のほとりに柳の木が斜めに立ち、
白い葉裏を流れに映しているところに、
オフィーリアがきました。
キンポウゲ、イラクサ、ヒナギク、
それに、口さがない羊飼いは卑しい名で呼び、
清純な乙女達は死人の指と名づけている
紫蘭の花などを編み合わせた花冠を手にして。
あの子がしだれの柳の枝に
その花冠をかけようとよじ登ったとたんに、
つれない枝は一瞬にして折れ、
あの子は花を抱いたまま泣きさざめく流れに
まっさかさま。裳裾は大きく広がって
しばらくは人形のように川面に浮かびながら
古い歌をきれぎれに口ずさんでいました、
まるでわが身に迫る死を死らぬげに、
あるいは水のなかに生まれ、
水の中で育つもののように。
だがそれもわずかなあいだ、身につけた服は
水をふくんで重くなり、あわれにもその
美しい歌声をもぎとって、川底の泥の中へ
引きずり込んでいきました。(小田島 雄志訳)

ウォーターハウスの美しい作品には、シェイクスピアの韻文に語られた細部の描写が随所に見られ、オフィーリアの乱れた心や無力感を伝えます。
穏やかですが、暗くて不吉な小川の水面には、睡蓮の浮葉と白い花が層をなして浮かんでいます。
この水面に魅了された画家は、2年後の「ヒュラスとニンフたち」で同じモチィーフを取り上げ、差し招くニンフたちに誘われて水死する少年を描きました。


参考文献 「英国ロマン派展」図録
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by esthetisme | 2009-05-24 23:17 | ラファエル前派
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ/海の呪文
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右 リゲイア・サイレン/ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ  1873年
左 海の呪文/ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ  1875年~77年

美しい歌声で船乗りを誘惑し、殺してしまうのが海神ネプトゥヌスにつかえる海の精セイレンです。
この油彩画で、セイレンは、林檎の木に結わえた楽器を爪弾いて、水夫を誘います。楽器には日本の琴が用いられていて、琴の背後には海が見えます。琴の音色にあわせて海鳥が飛来しています。この鳥は、誘惑されて命を落とした男の魂を表していて、その男の運命を物語るように、セイレンの赤い髪には「愛は危険」の花言葉をもつキャロライン・ローズの花冠がつけられています。琴の下には赤い金魚草が咲いていて、画面左下には、ギリシア神話でアドニスの死を嘆いてウェヌスが流した涙が花となったものとして知られるアネモネが描かれています。このような花々が匂い立たせるセイレンの妖しさと誘惑の力を、画面上部左右の赤い林檎の実が更に強調します。
1877年、絵の完成時に書かれた同名のソネットが額縁に記されています。その最初の8行は次のようにうたわれています。

リュートが林檎の木陰に掛けられ
閃くような指が弦のあいだに甘美に張られた呪いを織りなす
荒々しい音楽が高まるにつれ
海鳥が木の枝を目指して海を離れる
だがいかなる音に彼女は身をかがめて聞き入っているのか
どのような地獄の深淵の囁きを彼女は聞くのだろうか
風に沿って、入り江に沿って
地球の何処から届く響きに応えながら

この作品を描く以前の1873年、ヴァイオリンを爪弾く女性を描いた「ヴェロニカ・ヴェロネーゼ」を所有するF・R・レイランドは、ロセッティに対作品を所望しました。
ロセッティは、裸のサイレンが弦楽器を弾く「リゲイア・サイレン」の購入をすすめましたが、裸体画のため拒まれました。
プロテスタントの慎みと道徳的な厳格さを求めるヴィクトリア朝では、ヌードは道徳を堕落させると批判されましたが、しだいにイギリスの歴史や神話を題材にした裸体画は許容されることになります。しかし神話から取材しても私的な雰囲気をたたえるロセッテイの裸体画の購入にパトロン達は躊躇しました。
2年後ロセッティは、コールリッジの詩「クーブラ・カーン」の中の2行「ダルシマーを引く乙女/かつて私は幻視を見た」を題材にして、「海の呪文」の習作となるクレヨン画に製作にとりかかります。この習作でもモデルの右胸がはだけていました。
ロセッティはドレーパリーで女性の身体を被うことにためらいがあり、「いかなる種類のドレーパリーでも僕自身のアイデアを殺すことなく描きいれることはできない」と訴えます。
ワッツ=ダントンによれば、晩年、エネルギーのすべてを神秘主義な気質に支配されたロセッティは、身体を描く手法を変えて、身体を霊化する作業に立ち戻りましたが、それは禁欲主義があってはじめて保持される神秘を身体に与えるという矛盾を孕んだ試みでした。
神秘への傾倒が深まるほど、身体は霊的象徴と化します。その象徴性を高めるために、ロセッティを裸体に神秘の顕れをみようとします。けれども、そうして神秘を身体に追求するにつれて、ロセッティは身体そのものにのめり込んでいき、「自身の想像力の奴隷」となっていくのです。
「海の呪文」を完成するにあたり、ロセッテイは購入者のレイランドの要求に応えて、セイレンをドレーパリーで被い、モデルも変えました。あたかもドレーパリーは、身体と神秘との間を彷徨い、かたちを持てない「イメージ」そのものであるかのようです。そのセイレンのドレーパリーと海鳥が同色となっているのは、男たちを誘惑するはずであるのセイレン自身も犠牲者であり、運命に身を任せていることを示唆しているからです。
さきほどに引用したソネットはこう続いていきます。「彼女は自らの呪いの中に沈んでいる」
ドレーパリーの波は、女の赤い髪、リュートを奏でる手とともに海の波を暗示していて、絵を見る人を波間に誘っていく効果を持っています。
上のソネットも、運動を暗示する単語を重ね、問いを畳みかけながら、鑑賞者を絵の中に引きずり込んでいきますが、最後に「ついに宿命づけられた水夫が、彼女の声を聞き/彼女の裸の胸を押しあてる岩にのぼり、死んでいくのか」と問い、鑑賞者を絵の外部に連れ戻します。
ロセッティの絵と詩は、たがいに説明しあう関係から、それぞれ自立性を保ちながら、共振あうものへと変わっていました。そうしてロセッティは、音楽と詩が生まれる瞬間と、イメージが「かたち」となる瞬間を共鳴させようとしました。
若き日に、当時のジョルジョーネの作と見られていた「田園の合奏」に詩を読んだロセッティは、いま、女性の身体あるいはドレーパリーの襞のあいだに到来する音楽とイメージが響きあう神秘の瞬間に耳を傾けています。

参考文献

「ウィンスロップ・コレクション展の図録」

この作品が所蔵されているフォッグ美術館にはたくさんロセッテイの作品がありまして、
2002年のウィンスロップ・コレクション展で展示された「クリスマス・キャロル」、「ベアータ・ベアトリックス」、「祝福されし乙女」、「パンドラ」、「アウレア・カテナ(黄金の鎖」、「ラ・ドンナ・デッラ・フィネストラ(窓辺の淑女)」、「イル・ラモスチェッロ(小枝)、「マイ・レイディ・グリーンスリーヴズ」、「ダンテ」の習作2点のほか全部で29作品所蔵されています。
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by esthetisme | 2009-05-17 11:44 | ラファエル前派