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総合芸術と生活美学を目指して~僕の審美眼に叶う愛しい物達~
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今はなきレオン・ド・リヨンの森鳩。生涯で一番美味しかったジビエ。あまりの美味しさにまた食べにフランスに行ったほどです。これを超えるジビエ料理に出会いたい!!

by esthetisme
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自己紹介

美味しいものが大好きで、音楽、映画、絵画、文学における抒情美を追求している「るしぇるしぇ」といいます。


誕生日 14.4.1979

尊敬する人物

レオナルド ダ ヴィンチ
稀有の総合芸術者です。

好物:
フォワグラ、ピジョン、
グルヌイユ、ジビエ
アバ、ビターチョコ、
ワイン、ハーブ系のお酒、
アルマニャック、日本酒
刺身、湯葉、

嫌いな食べ物:
添加物を加えて
いる食べ物、
ジャンクフード、
ファーストフード、
インスタント食品、
チェーン店の料理、
創作料理(フランス料理
なら正統的なフランス
料理を食べたいので、
でも一店だけ例外はあり
ます。)


お腹をただ満たすための
食事ではなくて、
ゆっくりと時間をかけて
味わい、全身で美味しさ
を喜ぶことができる、
そんな料理が食べたい
です。

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ギュスターブ・モロー 「一角獣」
想像の動物である一角獣は、狩人には捕まることができなく、処女のみが捕らえることができるために女性の「純潔」の象徴とされています。古くから、処女母神信仰と結びついていて、マリアの処女性と関係づけられてきました。触れたものをすべて浄化する力を秘めた角をもっていて、その角はまた、陽物崇拝的な象徴性を持っています。

女性の懐に頭をもたせかける一角獣の図像は、ロマネスクやゴシックの聖堂の祭壇画がきっかけとなり、15世紀から16世紀に北方ヨーロッパの絵画やタピスリーに描かれるようになりました。
現在、パリのクリュニー美術館にある「一角獣を連れた貴婦人」の6枚のタピスリーはモローが一角獣の主題を描き始める契機となった作品です。
15世紀末から16世紀初頭に製作されたこの美しいタピスリーは、1840年代初めに作家ジョルジョ・サンドによって、ブーサックの城館で発見されました。
1882年に国家の所蔵となり、一般に公開されてまだまもない頃、モローはこの主題を描き始めていました。
一角獣に見られる女性と動物というモティーフは、ラ・フォンテーヌの「寓話」の連作の中でモローが取り組んでいたものでした。
1879年に、マルセイユの美術愛好家であるアントニー・ルーは、ラ・フォンテーヌの「寓話」の水彩画を作家たちに競作させることを思いつき、1881年5月にその作品を一同に会して展示しました。モローは25点出品し、宝石を粉にして描いたようだと称された見事な作品で他の作家を圧倒したため、以後モローひとりにこの連作は依頼されました。
合計64点に及ぶこの連作を契機に、モローは動物の描写を研究にするようになりました。1881年の8月と9月には連日のように動物の檻の前でスケッチに励み、動物の骨格を研究するために自然史博物館の解剖学陳列室にも通っていました。

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恋するライオン(水彩画の原画をフェリックス・ブラックモンがエッチング)

この連作のひとつである「恋するライオン」は、以後頻繁に登場することとなる、大きな赤い帽子をかぶった貴族的な裸婦像の最初であり、女性と動物という組み合わせを含めて、一角獣のまさに原型となる作品です。


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ギュスターブ・モロー 「一角獣」

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ギュスターブ・モロー 「一角獣」

モローの代表作のひとつである「一角獣」は、クリュニーのタピスリーから、その主題だけでなく、一角獣の表現や女性たちの衣装・装身具・状況設定など多くを引用しています。
リヨン出身のブルジョワであるル・ヴィスト家のために製作されたタピスリーは、赤地に切花と小動物を散らした「千花文」の装飾的背景の中に、楕円形の島形をした草花の生い茂る「緑の野」が置かれ、その上に主題となる一連の寓意的図像が織り出されています。この「閉ざされた庭」には、処女性の隠喩が含まれています。モローの「一角獣」でもまた、きらびやかな貴婦人たちと一角獣が集まるのは、海に囲まれた「島」という閉じた空間です。緑の野に衣装の赤が映え、タピスリーの赤と緑の対比に呼応しています。

クリュニーのタピスリーは、6枚のうち5枚が「五感」を象徴したものです。モローの豪奢に着飾った貴婦人は、「味覚」の中の貴婦人と衣装やポーズなどに似ている部分があります。その横顔や髪型、宮廷衣装はまた、ピサネッロの「聖ゲオルギウスと王女」における女性の姿を思い起こさせるものだとも指摘されています。

一方、画面前方に横たわる裸婦は、大きな赤い帽子とケープ、抜けるような白い肌をしていて、「恋するライオン」の女性を思わせ、初期の「一角獣」からの展開を示しています。剣を左手に、右手で視線を交わす一角獣を愛撫するその様子は、タピスリーの「視覚」と「聴覚」の図像との関連性を示しています。

また背景には、ロレンツォ・コスタの「イザベラ・デステの宮廷のアレゴリー」のような、夢幻的な船と遠景の描写を、「オディッセウスとセイレーンたち」同様に再び引用しています。
幻想的な水辺の大きな樫の木の下で展開する夢のように優雅なこれらの図像が、画面の中で美しく調和し響き合い、神秘的で静謐なアルカディアを創り上げています。

最後までアトリエに残した作家の愛着が強い「一角獣」は、未完成ではありますが、モローの作品の中で最も魅力的なもののひとつです。

参考文献


「2005年度のギュスターブ・モロー展」の図録
by esthetisme | 2009-05-30 22:48 | ギュスターブ・モロー